こころ通信 No.2


こころ通信 No.2「信頼通貨養成所」前編
(2025年8月3日公開)

カザネ

皆さん、こんにちは。
「こころ通信基地局」の局長、カザネです。


前回、この基地局のアンテナが“信頼”という言葉をキャッチし、
「信頼という名の通貨」の物語をお届けしましたが、いかがでしたでしょうか。
ほんの少しでも、あなたの中に、何か感じるものがあったのなら…それは、わたしにとって、何よりの喜びです。


さて今回は、前回のお話の中で、気になった方も多かったと思われる
「信頼通貨養成所」について、お届けいたします。

【前回の話】

この星では、**「信頼」**が通貨として使われています。
誰もが18歳になると、親から受けた愛情の深さに応じて、“信頼通貨”が与えられるのです。

ただし、この通貨、自分のためには使えません。
使えるのは、生涯でただ一人――その人にだけ。

二人は、少しずつ言葉を交わすようになり、信頼を育て合った。
信頼は“与えるもの”から“築くもの”であることを知った。

では、親の愛を十分に受け取れなかった者は、どうすればよいのでしょうか?
親の愛を感知するのが苦手な者は、“信頼通貨養成所”に通うことになる。
「古の教え」と「信頼通貨養成所」の繋がりとは。
その答えは、物語にあります。、続きをお楽しみください。



 🌸 こころ通信 No.2「信頼通貨養成所」前編 🌸



「数年前に話しかけて途中だったこと、あったよね?」

店先にいた青年の背中に、娘が急に声をかけた。

「『信頼通貨養成所』って、なんなのっ?
わたしも、なんとなーく聞いたことがあるような、

ないような…ふわっとした感じなのっ。
知ってるなら、ちゃんと教えてよ。」

オギャー オギャー――
青年の背中に抱かれていた赤ん坊が、びっくりしたように大きな声で泣き出した。

「やっと寝かせたのに、急に大きな声で話しかけるから…」


青年が困った顔で赤ん坊をあやす。

「おーよしよし、びっくりさせてごめんねー。よしよし…」


娘が赤ん坊のほっぺを優しくなでると、また静かに眠りについたようだ。

青年は、商品を棚に戻しながら、ふっと小さく笑った。

「おれもな、小さい頃に、遊びに来てたおばあちゃんから聞いた話なんだよ。


もう、10年くらい前になるかな。そのあと病気で亡くなっちゃってさ。」

「……あ、ごめん。変なこと思い出させちゃった…」
娘が申し訳なさそうに視線を落とす。

「いいんだ」
青年は空を仰ぎ、目を細めた。

「すっかり忘れてたよ。でも…今、思い出したよ。
おばあちゃん、ごめんな。

でも、今思い出したから、堪忍してな。」

そう言って、青年は小さくうなずき、静かに話し出した。


【古くからの教え】

…昔むかしから、ずっと語り継がれてきたことじゃ。
おまえさんも、耳にしたことくらいはあるだろう?

この世界ではの、人と人とをつなぐのは、お金や力だけじゃない。


もっと目に見えんもので、もっと温かいもんがある。

それが――信頼というもんじゃ。

赤ん坊は、親から愛を受けて育つ。
とりわけ、母親の愛はな、特別なんじゃよ。


おなかの中で、いっしょに時を過ごし、生まれてきた命。


その無償の愛が、やがておまえさんの“信じる力”を育てる土台になるんじゃ。

そして大人になれば、愛を受けるだけじゃすまんのじゃ。


今度は、自分が誰かを信じてやらにゃならんのじゃよ。
それが、この世界で“信頼通貨”と呼ばれるもんじゃ。

この通貨は、生涯でたったひとりの相手にだけ使える、特別なもの。


使えば減ると思うかもしれんが、減ることはないんじゃ。


こころの通じる相手に使えば、心に温かさが積もっていく。


間違えると…まぁ、そこは、また別の話じゃがの。

もし母親からの愛を十分に受けられなかった者はどうなるかって?


ふふ、ちゃんと考えられておるんじゃ。
そんなときのために――
信頼通貨養成所って場所があるんじゃよ。

そこではな、愛情をたっぷり感じて、信じる力を育ててくれるところじゃ。


自分を、誰かを、信じていいんじゃと、思い出す場所なんじゃ。

このことは、口から口へ、
人から人へ、
言葉から、こころへ――

繋いでいく、大事なメッセージなんじゃ。

くれぐれも忘れずに、ちゃんと繋いでいくんじゃぞ。
頼んだぞ――。



「……なるほど、そういうことだったのね。」

娘が、少し考え込んだように、でもどこか楽しそうにうなずき、ふっと空を見上げる。

「たくさんの人たちの想いが、悠久のときを越えて、ちゃんとこうして繋がってるんだね。」

青年も同じようにうなずいた。

「そう。おばあちゃんの想いも、一緒にね。」

青年は、話したことで想いを繋ぐ約束を果たした気分になり、自然と笑顔がこぼれた。

「でも、ほんとにそんな場所、あるの?」

「さぁな。おれも、実際に見たことはない。でも――」

青年は、ふと腕の中の赤ん坊を見下ろす。

「もし、そんな場所が本当にあるなら……」

青年は、そっと赤ん坊の小さな手を握りながら、続けた。

「この子が大きくなって、もし不安になったときは、きっと行かせるよ。」

娘は、青年と赤ん坊を交互に見つめ、ふっと優しい笑みを浮かべた。

「……わたしは、あなたのおかげで行かなくてすんだけど、行ってたら、どうなってたかなぁー。」

くすりと笑い合った二人の間を、やわらかな風が通り過ぎる。

そして――
物語は、舞台を「信頼通貨養成所」へと移していく。


あなたも、子供の頃に おじいさんやおばあさんから、生活に関わる小さなことをたくさん
教わってきたと思います。
便利な世の中になっても、なぜだか ふと思い出したりすることありませんか。
わたしの場合、喉が痛くなると【長ネギ焼いて(ちょっと臭い気になりますが…)喉に巻きつけます】
これが意外と薬を飲むよりも効くんですよね!

話は戻りますが、
「あなたは “信頼通貨養成所” に行きたいですか?」
そして、どんな先生から、なにを教わりたいですか。
ゆっくりと想像してみてください。
次は「その養成所にご案内致します!」

「また次回、この続きをお楽しみください」

こころ通信 No.2「信頼通貨養成所」前編 〜おしまい〜

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