第5話:婚活サイトに登録してみたら
登録までのドキドキ
夜、ひとりでスマホをにらんでいた。
カザリ「やっぱり……登録しちゃおうかな」
これまで気軽な恋活アプリはいくつか触ったことがあるけれど、“婚活サイト”という響きはちょっと真剣すぎてハードルが高いと思っていた。だけど26歳になった今、「そろそろ将来のことを考えてもいいよね」という気持ちが、私の背中を押していた。



「ふふ、カザリ、ついに来たわね」
隣に座っているみたいに声をかけてくれるのは、頼れるカザネ姉。
私が恋に迷うたび、こうしてアドバイスをくれる心強い存在。



「プロフィール写真、どうしよう……」



「自然な笑顔で大丈夫。無理に盛らなくても、“あなたらしさ”をちゃんと見てくれる人はいるものよ」
カザネ姉の言葉に背中を押され、プロフィールを完成させた。
趣味の欄には「読書とカフェ巡り」。休日は「散歩や美味しいものを食べること」。
年収や外見みたいなセンシティブな条件は書きすぎない。大事なのは、心が通じそうな部分。
初めての検索
登録が完了すると、いよいよ“検索機能”が目の前に現れた。
カザリ:「えっと、地域は……まずは住んでる県内で」
画面をタップすると、条件に合う人たちのプロフィールがずらっと表示される。



「わぁ、けっこういるんだ……」



「いいじゃない。最初は細かく条件を絞りすぎないこと。年収とか身長とかにこだわりすぎると、あなたの世界を狭めちゃうわよ」



「うん……。まずは“話してみたいな”って思える人を探してみる」
私は“趣味が合いそう”という条件で絞り込んだ。すると、「読書好き」「旅行が好き」「休日はカフェ巡り」といった人たちが出てきた。眺めているだけで、不思議と気持ちが前向きになる。
専属エージェントからのおすすめ
ふと、通知が届いた。
『あなたにおすすめのお相手をピックアップしました』
カザリ:「えっ……!」



「ほら、見て。すごいでしょ? 趣味や考え方が合いそうな人を自動で教えてくれるの。まるで運命の出会いをナビゲートしてるみたい」
確かに、相手のプロフィールには「小説を読むのが好き」「休日は静かなカフェで過ごす」と書かれていて、なんだか親近感が湧いてきた。“ちょっとゲームみたいで楽しいかも”と心が軽くなる。
はじめてのメッセージ



「よし……勇気を出してメッセージを送ってみよう」
私は深呼吸して、文字を打ち込んだ。
カザリ:「こんにちは。プロフィールを見て、趣味が合いそうだなと思ってメッセージしました。もしよかったらお話してみたいです」カザリ:「どうかな……?」



「バッチリよ。堅苦しくないし、ちゃんと心がこもってる。恋は駆け引きじゃなく心。これが基本なのよ」
私は少し安心した。けれど、その後の時間が長く感じられた。
返信が来ない不安
一時間、二時間……スマホを何度も確認するけど、返事は来ない。



「うぅ……やっぱりダメだったのかな……?」



「カザリ、大丈夫。相手も仕事中かもしれないし、ゆっくり考えてから返信しようとしているのかもしれないわ」



「でも……なんか心配……」



「そんなに焦らないで。恋は速さを競うものじゃないの。心を込めて待つ時間も大切よ」
その言葉に、少し肩の力が抜けた。もしコメントが来たらすぐに返信しなくちゃと焦る自分に気づく。“慌てず待つことが大事”と、自分に言い聞かせる。
自分への気づき
夜になっても返事は来なかったけれど、私は不思議と落ち着いていた。
「焦らずに、心を込めて。まだ始まったばかりだもんね」
そうつぶやいて、自分に言い聞かせる。婚活サイトって、ただ相手を探すだけじゃなくて、自分の心と向き合う場所でもあるんだなと感じた。検索してみるワクワク。おすすめ相手が届いたときのときめき。そして、返信を待つドキドキと不安。全部が新鮮で、ちょっとした恋愛をしているみたいだった。
最後のひとこと



「大切なのは、素直な気持ちを伝えること。そして、焦らずに心を信じること。カザリ、あなたなら大丈夫よ」



「うん……ありがとう、カザねぇ」
まだ見ぬ相手との未来はわからない。だけど、この一歩を踏み出したことで、私はもう前に進み始めている。
📖 カザリの心のつぶやき
「婚活サイトに登録してみると、検索やおすすめ機能で“出会いの仕組み”がよくわかる。
でも一番大事なのは、数字や条件じゃなく“心”。
駆け引きじゃなく、素直な気持ちを大切に。
そう思えたのは、カザねぇのおかげ。」
✍️ あとがき
今回の第5話は、実際に婚活サイトを使ったときの「ワクワク」と「不安」をぎゅっと詰め込んでみました。
読んでいて「自分もこんな気持ちになるだろうな」と思ってもらえたら嬉しいです。
次回は、いよいよ初通話。声を聞いた瞬間にどんな気持ちになるのか――ぜひお楽しみに!
ーー第6話へつづく。

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